Meet evil with evil.
ミセランドの繁華街から少し離れたオフィスビル街。
RYO-YAは慣れたように裏通りを歩き、とある駐車場の奥に進んでいく。すると背後から待ち伏せていたように人影がRYO-YAの影を踏んだ。
「……ヴェンデッタのお守り役が、トロイメライの本社に何の用だ?」
「こんばんは、Mr.パーフェクト君。僕の事知ってるんだ、光栄だな」
周囲に他に人影はなく、RYO-YAと統夜は互いに目を合わせずに話し続ける。
「悪名の高さでね。うちの店なら即クビだぞ」
「悪さしてるのは天魔とKeith、僕はふたりの尻拭いが仕事。
今日は会長の大事なペットが脱走中らしくてね、探すのを手伝ってるところ。そっちは?」
「奇遇だな、俺も探し物だ。だが今日は先客がいたようだから改める。
疑われるのは本意じゃない」
「……」
わずかに統夜の目尻が動く。カマを掛けたが当たりだったようだ。統夜はRYO-YAを探す以外に事務所で何かをしていたのだろう。
「ここで会ったことは秘密にしてあげる。……君らの事情は知らないけど、死にたくなければ、あの人には逆らわない方がいいよ。これは忠告」
観念したのか、ひらひらと片手を振りつつ統夜は踵を返して暗闇に消えていく。その姿が見えなくなるのと同時に息が上がり、RYO-YAは激しく緊張していたことに気付いた。
(命なんか今更惜しいものか、何もしなければどのみち死ぬんだ)
目の前にそびえ立つ高層ビルを睨んで、RYO-YAは汗まみれの手を握りしめた。